雨恋~芸能人の君に恋して~
「これで、このマグが好みじゃないって突き返されたら、琉宇が責任とれよ」
「えー?横暴な!」
一方的な開の言葉に、「弁償なんかしないからね」と舌を出すと、
「弁償はしなくていいから、突っ返されたら、1個は琉宇が責任もって使えよ。もう1個は俺が使うから」
恥ずかしそうに横を向いた、開の頬が赤かった。
そして改めて知る。
開は本当に、私のことが好きなんだって。
こんな私を、一途に想ってくれる開。
けど私が一緒にいたいって思うのは、
お揃いのマグカップを使いたいって願う相手は、
開じゃなく優紀君で。
「ごめん。それはできない」
はっきりと断った。
傷ついた目で、じっと私を見つめる開。
「何度でも言う。俺は絶対、琉宇を諦めないから」
開は綺麗にラッピングされたペアのマグカップを手に、店を出た。