雨恋~芸能人の君に恋して~



さげすむような言い方に、慌てて否定する。



「あんなの嘘!私が付き合ってるのは優紀君だけだよ。信じて!」



『手をつないで、あんなに嬉しそうに笑ってるのに?』



疑う優紀君に、必死で、あの日のことを説明する。



開と出会ったのは、偶然で。



開に手を握られたけど、すぐに振り払った。



ペアのマグカップは、開のスタイリストさんへのプレゼントだと。



『ふーん』



興味なさそうに、そう答えた優紀君。



『状況は理解したよ。けど琉宇。俺が一番気に入らないのは、琉宇の笑顔だ。
だって琉宇、俺の前ではあんな無防備な顔で笑わないだろ?』



その言葉にドキッとする。



優紀君といるときは、いつもドキドキしすぎて、緊張して上手く笑えない。



けど、それは優紀君と一緒にいることがつまらないってわけじゃなくて。



本当に、優紀君のことが好きだから。



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