雨恋~芸能人の君に恋して~



この気持ちを、どうやって説明すればいいだろう?



もどかしい気持ちでいると、



『開に向けた、琉宇の顔を見て思った。きっと琉宇は、俺には甘えられなくても、開には素直に甘えられるんだろうなって。
会いたいときは『会いたい』って。寂しいときは『寂しい』って。我慢しないで言えるんだろうなって』



優紀君の言葉に、胸が痛んだ。



確かに、もし開が私の好きな人で、彼氏だったら、



どんな状況でも、遠慮なく『会いたい』って言えるだろう。



けど、優紀君は全然わかってない。



悲しくて、胸が苦しい。



こんなにも優紀君が好きなのに。



好きすぎて、今も、どう言えば優紀君に信じてもらえるかって、必死に悩んでいるのに。



伝えたい気持ちが大きすぎて、うまく言葉にできない。



「私が好きなのは、優紀君だよ」



必死に思いを伝える。



けど優紀君は、



『本当?』



不安そうに、そう聞いた。



「嘘なんかつかない。信じて!」



沈黙の後、優紀君が口にしたのは。



『琉宇だけは、俺を捨てないで』



今にも泣きだしそうな、悲痛な言葉だった。





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