雨恋~芸能人の君に恋して~
週刊紙に、私と開のゴシップ記事が掲載された日の午後、開から電話があった。
『すげー、騒ぎだな』
まるで他人事みたいな開に、カチンとくる。
「開が紛らわしいことするからでしょ!」
偶然会った、あの店で。開がいきなり手を繋がなきゃ、あんな記事は書かれなかったのに。
沸々と、抑えていた怒りが沸き上がる。
「謝れ。バカ開!」
スマホに向かって叫ぶと、
『俺。謝んねーから』
開は静かに答えた。
『確かに、あの記事には嘘も書かれていた。けど6年越しの想いとか。MVでの再会とか。6年ぶりのドラマの共演とか。
色んなもんがつみかさなって、琉宇が好きだって気持ちが増えていったのは、本当のことだから』
「けど、あの記事のせいで、優紀くんは怒ってる」
あんなに恐い声で。
あんなに寂しそうに。
優紀くんを傷つけちゃった。
『捨てないで』
そう言った、優紀くんの言葉を思い出して、胸が締め付けられる。