雨恋~芸能人の君に恋して~
「こっからなら成田まで30分で行ける。スピード出すから掴まってろ」
開はそう言うと、アクセルを踏み込んだ。
「ねぇ、開。そんなにスピード出したら危ないよ」
「黙ってろ。舌噛むぞ」
猛スピードで高速を突っ切って、成田空港に着いた。
「俺がしてやれるのはここまでだ。こっからは琉宇ひとりで行け」
真っすぐな開の瞳に、胸が締め付けられる。
燃えるような開の瞳を見つめ返して「ありがとう」って伝えた。
開は、寂しそうに微笑むと、
「帰りは送ってやれねーから、一人で帰れよ」
そう言って、私のほっぺをプニッて摘まんだ。
「振られたら俺のとこに来い。そん時は、2度と放さないからな」
焼けるような、揺るぎない真っすぐな想い。
開はいつだって、自分を偽ることなく私に接してくれた。
「本当に、ありがとう」
去ってゆく車に向かって、もう一度、呟いた。