雨恋~芸能人の君に恋して~
もし私が優紀君に恋をしていなかったら、迷わずあなたの胸に飛び込んだだろう。
それくらい魅力的な人。
けど、
バッグからスマホを出すと、誰よりも会いたいと願う人に電話する。
ガラス細工みたいに繊細で、綺麗で。
けど、その心はとても熱い。
青白い炎みたいな人。
数回、コール音が聞こえた後、
『琉宇?』
驚いたような、優紀君の声がした。
「会いたい」
思いのたけをぶつける。
「優紀君に会いたくて、会いたくて。心が押しつぶされそうなくらい寂しいよ」
『琉宇……、どうして?』
「どうして?寂しいに決まってるでしょ!」
この心はいつだって、優紀君を求めてる。
「なんで何も言わずに行っちゃうの?大切なこと、何も言ってくれないのは優紀君も同じじゃない!私と開のこと、怒ってるなら怒ってるって、ちゃんと叱ってよ。『捨てないで』なんて言いながら、私のこと捨てようとしてるのは優紀君の方じゃない!」
感情が、止まらない。
「いつも、いつも我慢して。平気な振りしてるのは、優紀君でしょ?『あっち行けよ』なんて言いながら、反対のこと望んでるのは、優紀君でしょ?」
本当は、謝ろうと思ってた。
開とのこと、もう一度ちゃんと誤って、許してもらおうと思ってたのに、
口からあふれ出るのは、優紀君を責める言葉ばかりで。
こんなんじゃ優紀君に嫌われちゃうって思うのに、頭で考えてる言葉とは、全然違う言葉が出る。