雨恋~芸能人の君に恋して~
沈黙を続ける優紀君。
嫌われちゃったかな?
呆れちゃったかな?
こんなの優紀君から見れば、ただの逆切れだよね。
スマホに向かって感情をぶつけながら、空港の中を走る。
開の話では、優紀君はラウンジにいるって言ってた。
まだ出国手続きを、終えてなきゃいいけど。
きょろきょろとあたりを見回す。
周囲の人が、物珍しそうに私に視線を送ってる。
相澤琉宇だって気づいて、指をさす人もいる。
通話中、ふと空港内にアナウンスが流れた。
電話の向こうで、優紀君がハッと息を飲む。
『琉宇。今、どこにいる?』
「どこって……空港?」
勢いのままここに来たことに、今更ながらしり込みする。
優紀君が長い溜息を吐く音が聞こえて、胸が締め付けられた。
こんなとこまで追いかけてきて、うざい女だと思ってる?
それとも、もう私の顔なんか見たくない?
『参ったな』
優紀君の言葉に、胸がズキンと痛んだ。