瞳 短編小説
あなたと私の壁
カランカラン。
朝だ。。
窓の隙間からわずかにこぼれる光を見つめ目が覚める。
私の世界は動けるものと動けないものに分かれている。
私は…。
カランカラン。
「いらっしゃいませ」
小さな女の子を連れた親子がやってきた。
あの親子は動けるもの。
小さな女の子が私を見た。
引き寄せられるかのように私の方へ口を開けたまま歩いてきた
「綺麗…」
小さな女の子は私を見つめた
「ママ!このお人形さんがほしい!」
まただ。動けるものは私を見て必ずいう。
人形。
なんなのだろう。人形とは動けないものを表す言葉なのだろうか。
私はその言葉の意味がわからなかった。
ボーッと言葉の意味を考えてたら小さな女の子のお母さんが近くに来た。
「本当…綺麗ね。」
小さな女の子のお母さんはにっこり私に微笑んだ
「でも今日はあなたのおもちゃを選びに来たのよ?このお人形さんは飾るものよ。もっと他のにしなさい」
小さな女の子のお母さんは優しい声で女の子に言った。
「はぁい。」
少し口をとんがらせ小さな女の子は他の人形というものを買って帰った。
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