また会いたくなっちゃったんだろ?


先輩との初対面は半年ほど前。
新しい職場に来て2日目の朝、私がまだ資料を集めている時にいつの間にか背後に現れて、

「おはようございます、白石です。」

と、先輩の方から私がまだ背を向けている内から名乗って下さった。
なんて育ちのいい男性なんだろうと思った。
とても涼やかな目が長い前髪からのぞいてる。紺のスーツが端正な顔立ちを際立たせている。


この時はまだ今のような気持ちはなかったのに、いつから先輩に夢中になってしまったんだろう。


そんなことを考えていると、先輩の手がひときわ強く押し付けられてハッとなった。
「あ、あの…?」
「何?フフ、そうだな分かったよ。あー俺も子どもになりてぇ、スカートいじくって中見てぇ!」
なんて明け透けな態度で言っても手を引いてくれる先輩の優しさが好き。


「さ、俺そろそろ仕事の続き頑張ってくるわ。どうするかな?ここじゃできないよな?」
車の中って丸見えなのかな?こんなに暗いのに…。でも…。
「他の車見て下さいよ、どの車も中なんて見えないですよね。きっと私達も見えっこないですよ。」
そう言って先輩の方に向き直すと、マジかよ?という顔で私に合わせて背をかがめてくれる。


先輩の綺麗な目が私を見てる、私だけをじっと。
磁石みたいに近づくキス。

先輩の顔、さっきより優しい目をしてる。頬に触れる先輩の手、私から離れなかったらずっと触れて撫でてくれるのかな。そうしていたい。
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