また会いたくなっちゃったんだろ?



港町に長年居た私にとって、海岸沿いのバイパスから眺める神戸や、
大阪へ向かう湾岸道は昼と夜とで表情を変えることを知ってる。
先輩の故郷と神戸はほぼ対極とも言えるくらい、何もかも違う。
それでも海峡に架かる橋や迷路のような高速道を先輩は知っているのだ。
まるで一緒に見ているようにお話しできるのが、とても不思議。

「白石さんと神戸にご一緒するなんて、無理ですよね…?」
「は!?神戸は遠いぞ!日帰りで行くようなとこじゃねーだろ?」

それはもちろんそうなんだけど…

「あはは、ごめんなさい、分かってます。」
「遠すぎなんだよ。」
「はい、でも神戸には行って来ます。……誰と見て来ようかな…?」

「!!…」

先輩がすっごく怒ったような、それでいて『冗談だろ!?』
と笑いを含んだような顔で私を睨み付けている。

ペコッとお辞儀をしてロッカールームへ向かった。
ちょっとあんまりだったかな?
先輩、からかってゴメンナサイ!


< 61 / 67 >

この作品をシェア

pagetop