また会いたくなっちゃったんだろ?



もうすぐ、会える。
私の好きな人に。
先輩の車が駅のはずれの小さな料理屋さんの前に止まった。
まだ私の姿に気付いていないのかな?
車のそばへ近づく。
先輩が驚いたようにこちらに手を上げた。

荷物でいっぱいの私にスッと手を差し伸べて、後ろの席に置いてくれた。
「壊れるようなものない?」
先輩の気遣いが温かい。
「運転お疲れさまでした、どうもありがとうございます。」
「うん、いいよ。そっちこそ朝から疲れたろ?」「さ、行くか。」

先輩の助手席、何度目だろう。
座っただけの日、寝そべって甘く語った日。
どれもこれも私だけの思い出。

「どこに案内していただけるんですか?」
「何が食べたい?」
「えっ?考えて下さってなかったんですか?」
「フッまぁな、なんでもあるだろ?さ、何食べたいの?」
「ラーメンっていう話だったので、ノープランです…」
はははは!
先輩は笑いながら慣れた様子で大きくハンドルを切った。
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