さよならの準備
わかってるから、
西田さんに紡と話すことを勧められた日から1週間が過ぎた。
なんてことのない日々で、ただ勉強をしているだけで時間は流れ、終業式まで終えてしまった。
もちろんあたしたちの間にクリスマスはなく。
家で家族とチキンとケーキを食べただけと中学生みたいなクリスマスだった。
今年は受験だから「彼氏と過ごさないの?」なんてからかいは受けなかったけど。
そして今は冬休み。
去年の冬は紡と普通にデートだってしていたのにな。
まぁ、西田さんとは親しくなる前だったから、彼女との思い出はないけど。
……西田さん。
彼女とはるの交際は1年の終わり頃からだと聞いたことがある。
あたしと紡はそれより早い。
入学してから半年も経っていない、7月。
弓道部の合宿中のこと。
形だけでも机に向かっていたけど、もう気が乗らない。
あたしはベッドへ向かい、そしてそのままばたん、と倒れこむ。
ぶわりとほこりが舞い上がり、軽くむせた。
自然と浮かんだ涙を指先でぬぐい、あたしは紡との恋人関係のはじまりを思い出していた。