さよならの準備




「は⁈」



傷口と大差ないくらい顔全体が赤く染まる。

堪えきれない羞恥心に唇をきゅっと噛み締めていると、アッキーが焦った声で返事をした。



「違うから。俺たちはそんなのじゃないよ」



喉の奥が閉まったような呼吸の不自由さを感じながら、あたしもその言葉に同調する。

まさか、ありえないよ、ただの部員同士だし、みんなと変わらないから。



いくつもの言葉を重ねた。

そのたびに胸に沈んで、苦しくなった。



ああ……あつい。

思い出すだけで頭がぼーっとする。



のぼせたように熱を持つ身体で、指先だけが冷たい。

それをぎゅうと握り締め、ぽつりぽつりと言葉を探すように声に乗せた。



「あいつがあたしのことなんてなんとも思ってないことくらいわかってるから。
だから、……言えない」



たとえ身体中が心臓になったかのように心が跳ねても、この想いは届けることなんてできない。

それだけはありえない。






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