さよならの準備




みんなが呼ぶから真似た〝アッキー〟という愛称が、あたしが口にするには似合わなくて。

声に出すたびこそばゆくて、その感覚があんなに嬉しかったのに。

それなのに、〝みんなと変わらない存在〟だと意識する材料になってしまったんだもの。



欲張りな変化が恐ろしく、あたしはそんなふうになってしまったことがとても切ない。



そっとうつむくと、あたしに向けられる質問。



「なにを言えないって?」

「だから、アッキーのことが好きってことだって」



どうして何度も話題にしなきゃいけないんだと苛立ちを声に乗せた。

反射的に返したあと、違和感を感じて首を傾げる。



2度目の同じようなやり取り。

そして隣を歩いていたはずなのに、後ろから聞こえた問いかけ。

部員より低い、女のものでない声。



視線をあげた先には、



「え、……っ!」



まさにあたしが名前をあげた本人……アッキーがいた。






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