先生、俺を見て(仮)
まずは自己紹介をしましょう
*
「センセー、ここどうやってやればいいんだっけ」
「あ、そこはねこの公式を使って...」
「あー!なるほど!!ちょっとやってみる!」
「センセー!質問!」
「はいはいちょっと待ってねー」
「この問題これで合ってますか?」
「うん合ってる!難しいのにすごいねー!これと同じように次も解けるはずだよ」
そんな会話が教室のいたるところで交わされる。
そこは某有名個別指導塾。
壁で区切られたいくつものスペースに生徒と先生が隣り合って座り、各々が質問をしたり問題集を進めたりして授業を行っていた。
とても雰囲気がいい。
生徒と先生の距離感が絶妙で、学校では作り出せないフランクな関係性が出来上がっている。
それこそがこの塾の強みであり、勉強が苦手な子でも通いやすい、尚且つ成績もアップすると周辺地域では絶大な支持を受けていた。
キーンコーン――――
そうこうしていると一コマ目の授業の終了を知らせるチャイムが鳴る。
「よし!じゃあ授業はここまで!宿題はここからだからね」
「オッケー!じゃあ、バイバイ先生っ」
「うん!気を付けてねー」
各スペースで授業が終了し、生徒たちが次々と帰っていく。
しかし先生たちは次のコマも別の生徒の授業が入っているため、その準備を始めていた。
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