我那覇くんの恋と青春物語～水谷百合編～

「気になる？」


「えっ？」


「西園寺さんのこと」


一言で言えば、気になる。



しかし、それはどこか聞いていいものか引っかかっている。


「彼女・・・私のこと調べたみたい。だから、あなたに話したこと全部知っていて、凄く心配してくれて、優しくしてくれた。だから私も・・・彼女が小早川さんと喧嘩したときは、できる限り優しくしようって決めたの」


小早川（こばやかわ）エアは西園寺さんと犬猿の仲で、二人の喧嘩は学校の名物といっていいほどだ。



どうやら、あのときの膝枕は、その二人が喧嘩したあとだったのだろう。


「彼女・・・誤解されがちだけど、凄く人想いで・・・純粋な心の持ち主だよ」


「そうなんだ」


しかし・・・


「ところで、なんで西園寺さんは水谷さんを調べたの？」


「そ、それは・・・」


彼女が顔をそらしたので、聞いてはいけないことを聞いてしまったのだろうか。

視線を左右に振りながら戸惑う姿に、こちらも戸惑ってしまう。


「あなたと・・・いることが多いから」


「えっ」


よく聞こえなかったが、彼女の表情が晴れやかになったので大丈夫だろう。


「でも、西園寺さんよりも、あなたに修学旅行で話した方が先だから」


修学旅行・・・