桜の季節
「うん。好き。

悠也のこと、中学校の時から...ずっと...好き。

でも...」

そこまで言うと唯香は急に

泣き出してしまった。

ごめん。

ごめんね、唯香。

あたし、こういうの慣れてなくて。

こういうとき、なんて声かけたらいいか

わかんなぃんだ...。

ごめん。

ごめんね、唯香。

気づいてあげられなくて。

あたしは、涙が止まることのない唯香を

ただただ見ていることしか出来なかった。

唯香...よく考えると今日、

ずっと元気がなかったかもしれない。

ごめんね、

あたし、楽しくて楽しくて

唯香のことなんて全然気にかけてなかった。

【駅前にお店が出来たから】

なんて、ただの口実で本当は今日、

その話をあたしにしたかったんだね、

だから放課後じゃなくて

4人じゃなくて...

架歩と2人で、だったんだね、

ごめんね、唯香...。


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