もう一度、笑ってくれますか?


「聖はさ、彼女が欲しいとは思わないわけ?」

「別に…」


欲しいとは思わない。

むしろ、思ってはいない。


「だけどさ…」


「あ!こうくん、いたー!」



話をしていると子どもの声が聞こえてきた。

いや、聞こえたと思った瞬間には隣に座ってた。


「あー!りゅうだけずるい」

「りゅうがさきにすわったの!けいはままとすわって!」



テーブルからひょっこり顔を出して、もう一人の子どもが怒って口喧嘩が始まった。


「コラ!こうくんはお友達と話してるでしょ。後からにしなさい。」


子どもたちは母親に怒られた。

俺は、その様子を見て笑ってた。



「あー!瑞希さん。」

「咲ちゃん、久しぶり。ごめんね?3人で話してたのに。

こうくん、向こうで子ども達と待ってるね」


そう言って瑞希さんは、子どもたちを連れて離れた席に座った。


「もしかして、約束って瑞希さん?」


亮太が聞いてきた。

「そうだけど?」

「瑞希さんって、晃さんの…」


瑞希さん…


秋元瑞希(あきもとみずき)さんは、俺の5歳上の従兄弟

秋元晃(あきもとあきら)の奥さんだ。



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