対応は激甘でお願いします
佐藤さん、壊れる
「……ただいま、戻りました」
「おかえりー、三槻さん」
午後10時も過ぎた、日もどっぷり暮れた頃。
もう築何十年かも定かではない、古い三階建ての公共施設。
まだちらほらと灯りの点いている他部署を横目にぐったり戻ってくると、同じ保健福祉部・福祉政策課の大崎さんがひらひら手を振ってきた。
大崎悠司(おおさきゆうじ)さん。
おそらく30歳手前で、これもおそらく独身。
地毛だという茶髪はいつもふわふわ。
たれ目が特徴的でいかにも温厚そうな雰囲気。
和やかな笑顔と整った顔立ちで、住民の女性がたにも人気な私の上司。
「おつかれさまだねー」
そういって大崎さんはにこやかに笑う。
でも、その目の前では、デスクの上に煌々としたパソコンのディスプレイ。
積み上げられたファイルの山。
そんなものを目前にしても、朗らかな大崎さんを尊敬はする半面、こうはなりたくないと心底思う。
「おかえりー、三槻さん」
午後10時も過ぎた、日もどっぷり暮れた頃。
もう築何十年かも定かではない、古い三階建ての公共施設。
まだちらほらと灯りの点いている他部署を横目にぐったり戻ってくると、同じ保健福祉部・福祉政策課の大崎さんがひらひら手を振ってきた。
大崎悠司(おおさきゆうじ)さん。
おそらく30歳手前で、これもおそらく独身。
地毛だという茶髪はいつもふわふわ。
たれ目が特徴的でいかにも温厚そうな雰囲気。
和やかな笑顔と整った顔立ちで、住民の女性がたにも人気な私の上司。
「おつかれさまだねー」
そういって大崎さんはにこやかに笑う。
でも、その目の前では、デスクの上に煌々としたパソコンのディスプレイ。
積み上げられたファイルの山。
そんなものを目前にしても、朗らかな大崎さんを尊敬はする半面、こうはなりたくないと心底思う。
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