対応は激甘でお願いします
「やっぱり、この時間の会議はきついですね……」


 さすがに普段はここまでの時間仕事などしない。

 課長さんの方針も相まって「雰囲気に呑まれて残業はしない」「帰れるなら帰る」を入庁した直後から教えられている。

 ただし、帰れない時はどこまでも帰るわけではいかないけれど、そんなのどんな仕事も同じだろう。


「自治会の役員さんも、昼間は仕事があるからねぇ。こんな時間になっても集まってくれるだけいいって」
「それはそうなんですけど」
「まあまあ、そういうもんなんだよ。三槻さんも片づけ終わったら早く帰りなね」


 もう若い女の子の出歩く時間じゃないんだから。

 世代を一回り以上超えてお父さんのようなこと言う大崎さん。

 そのほんわかとした雰囲気に癒される……けど、大崎さんはまだまだ仕事するんですよね……。


「あの、これ会議で頂いたクッキーとチョコです。よかったら……」


 そう言って鞄の中からお菓子を取り出すと、大崎さんはにこーと笑って「ありがとう」と受け取る。


「カフェイン摂取で、あと3時間は頑張れるよ」
「日付変わっちゃいますよ!?」
「あはは、さすがに冗談だって」


 大崎さんが言うと冗談になりません……。

 そう思いつつ、少し罪悪感を覚えながら、私は他の職員さんたちに挨拶をして自分の部署を後にした。

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