恋の悪あがき〜甘い香りに誘われてⅡ
そうじゃなかった。
松田さんみたいな素敵な人に、恋人がいないわけない。
心の片隅で、薄々分かってたこと。
それが、現実となって突きつけられただけ。
松田さんのことが好きなんだ。
好きな人が見つかったのに、触れることは許されない。
洗面所で、顔をバシャバシャ洗い、終始うつむきがちに過ごした。
井川さんを見たら涙が溢れそうだから、話しかけられないよう、ひたすらパソコンで作業をした。