恋の悪あがき〜甘い香りに誘われてⅡ
『合コンで、いい雰囲気になった男もいる』

そういえば、この間、悠里と瀬戸さんが合コンへ行くって言ってたな…

その翌日の、瀬戸さんとの会話を思い出した。


『悠里ってば可笑しかったんですよ?

せっかく合コンなのに、パエリアにしか興味なくて、自己紹介は適当だし、男の人の名前は覚えないし。
アプローチされてるのに、全然気付かないんですよ』


「あー、佐伯さんは食いしん坊だからなあ…」


『そうなんですよ〜、でも、銀行マンの男の子と二人で、抜けてましたけどね』


「…二人で抜けた?」


『ふふ…、気になります?』


「…別に」


瀬戸さんの観察眼は鋭い。俺の悠里に対する気持ちに気付いてる。

気付いてて、時々こうして俺をからかうからタチが悪い。

いい雰囲気になった男だと?

藤枝室長の言うように、ぼんやりしてられないな。

手にしていた紙コップをくしゃりと潰した。




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