恋の悪あがき〜甘い香りに誘われてⅡ
「「ごちそうさまでした」」

キッチンに二人並んで食器を洗う。

二人だとあっという間に片付く。


・・・・・


ソファに並んで、紅茶を飲む。

「松田さん、美味しいカレーをありがとうございます。あの……仕事は、放り出してきてないですよね?」

いつか、私が会社で倒れた時は、仕事があるのに家まで送ってくれたっけ。

「大丈夫だ。悠里にご飯を作ろうと思ってたから、パパッと済ませた」

「ご心配おかけして、すみません。これからは、ご飯をちゃんと作って食べるようにします」

「クスッ…なんだ、それ?
ちゃんと作らなくていい。俺が作るから」

「……」

次もあるってことなの?本当に?そんな言い方されたら、期待しちゃうよ。

どういうことだろ。井川さんは?

松田さんの目をジッと見つめる。

「……」

視線がぶつかる。

まるで、私の心の奥まで見透かされそうな、強い眼差しに、クラクラする。







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