恋の悪あがき〜甘い香りに誘われてⅡ
松田さんの、射抜くような視線が私を貫く。

「悠里が好きだ。俺が好きなのは、悠里ただ一人だ。俺を避けるなよ」

松田さんの瞳が、不安げに揺れてる。

「避けてなんか……だって、松田さんには井川さんがいるじゃないですか。
それなのに、私のこと好きとか…松田さんの心が分かりません」

ああ、もう何なのよ…

「井川とは、おまえが想像してるような関係じゃないんだ」

へっ?違うの??



ハアァ…

松田さんは、大きなため息を吐くと、私から離れ、ソファに、グッともたれる。


「俺、大学卒業して二年間ヨーロッパをうろうろしてた。だから、同期入社の田中よりも二つ年上なんだ。

田中と、俺と同い年の井川と三人でつるむ事が多い。二人とも飲み仲間。

あの二人のこと、女性だと意識したことない。呼び方も、悠里に言われて気付いた。悩ませてごめん」

そう言って頭を下げる。








< 150 / 202 >

この作品をシェア

pagetop