恋の悪あがき〜甘い香りに誘われてⅡ
「…や…あの…顔を上げて?」

どうしよう…

こんな風に頭を下げられると、どうしていいか分からなくなる。

なんとなく視界に入った松田さんの頭をヨシヨシしてみる。

わあ、髪の毛サラサラ…

松田さんも頭…凝ってるかな?

当初の目的を忘れ、今度は両手でワシワシしてみる…

「なあ、犬になった気分がするのはなぜだ?」

しまった!つい、ワシワシしてた!

「ご、ごめんなさい。つい、グッピーを撫でてるつもりになってました」

グッピー?と、上目遣いに聞いてくる。

こういうとこ…グッピーに似てるんだ。

「実家で飼ってる犬です。可愛いんですよ?松田さんに似てるの」

「ほう。犬種は?」

「グレートピレニーズです」

「デカいヤツじゃん。それに似てるの?俺。褒められてる気がしないんだけど?」

「ふふふ…サラサラの毛並みで、賢い子です。グッピーは」

いつまでヨシヨシするの?と、手をつかまれる。


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