恋の悪あがき〜甘い香りに誘われてⅡ
16.終章
「悠里、お父さん何度も言ったじゃないか。桜コーポレーションんとこの、松田君だって。
釣り書きも、渡してあったろう?」

「だって…興味なかったもん。
釣り書きなんて、見ずに本棚にしまったし…」

「ったく、ちゃんと見てたら、食いしん坊の悠里の食欲がなくなるほど悩まなくても済んだのに…」

父と私が言い合う横で、大樹が、我関せずといった風にお茶をすする。

「受け取った書類は、すぐに確認する…これも、社会人としての基礎のキだ」

「……っ!」

ニコリともしないで、淡々と話す失礼な男、松田 大樹。

ズーズーズー




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