恋の悪あがき〜甘い香りに誘われてⅡ
あった…最後の一個だ。

「きゃっ…すみません」「……っあ」

最後の一個を取ろうとして、もう一人の誰かの手とぶつかる。

「松田……課長?」

もう一人の手は、買い物カゴを手にした松田だった。

「ぷっ…松田課長が、買い物カゴ持ってる…かっ、買い物…くっ…か?」

あーなんか可笑しい。似合わない。

「何だよ。俺が買い物したら可笑しいのか?」

「いえいえ、そんなこと……まだ言ってません」

「まだ?」

ギロッと怖い顔で睨まれる。

ひぃーーっ!
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