恋の悪あがき〜甘い香りに誘われてⅡ
「なあ、餃子…作るの?」

あーそうだった。最後の一個。

「そのつもりでしてけど…ジャンケンしましょうよ。最初は…「しない」」

「おまえに譲る」

いやいや…それは悪いよ。

ん?

「その手首の湿布…今朝の資料室の時の?痛むんですか?」

「いや…」

珍しく歯切れが悪い。

「餃子!うちで作りましょう。痛めた時は、鍋とか持たない方がいい。行きますよ?」

ガシッと松田さんの腕を掴む。



「ありがとうございました」

レジのお姉さんに笑顔で見送られ、デパートを後にする。
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