才川夫妻の恋愛事情
「……プレッシャー？」

「なんでもない。……それよりちゃんと寝たのか？　ご飯つくってくれたみたいだけど」

「うん、睡眠はばっちり。ごめんね今日……。あ、もしかしてご飯食べてきた？」



ちらりと時計を確認すると時刻は三時半を過ぎたところだった。彼にLINEを送ったのは一時間以上前だから、食べていたとしてもおかしくない。



「いや、食べる」

「……うん？」



なんか会話が噛み合わないな？　と不思議に思ってじっと見つめると、本当に微妙なくらいの変化だけど才川くんは顎を少し低くした。……あー、食べてきたんだなぁと察しがついてしまう。同時に、それを隠して食べると言ってくれている彼に、にやけそうになった。



「残ったら朝ごはんにするから、食べられる分だけで」

「うん」

「温めるね」

「いい、自分でやる。……寝てていいよ。悪かったな起こして」



そう言って才川くんは、起き上がろうとした私を制して掛布団をかける。深夜残業で帰ってきた旦那様を置いて寝るのも忍びないんですが……。家で甘やかされ慣れてないこともあってどうしようかと迷っていると、彼は着替えを小脇に抱えてネクタイを緩めながら、私をじっと見下ろした。
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