才川夫妻の恋愛事情


「才川、花村のこと好きすぎるだろ……」



怖ぇよ、と竹島さんがため息交じりに言うと、才川さんはへらっと笑った。



「好き、大好き。俺の花村」



そういうこと恥ずかしげもなく言えちゃうんだ……。お酒のせいでしょうか?

やれやれといった顔をしている花村さんの肩をぎゅっと抱き寄せながら、才川さんは言う。彼らの正面に座っている私の同期に向かって。



「そういうわけで俺のだから。覚えといてね」



俺は酒が抜けたら忘れるけどね、と。そう言われた私の同期は困ったように笑っていた。そう言えばあいつ、花村さんのことかわいいとか、狙っちゃおうかなとか馬鹿言ってたなぁ……。



ん?



「……」



もしかして、それで?







「神谷、お前も。あぁなるってわかってたんなら止めろよ」

「いや、才川ならやるかもなーって思っただけだし。花村も満更でもなさそうだから別にいいかなって」



そう言って神谷さんは興味なさそうにからあげにお箸を伸ばす。

私はますます釈然としない。


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