才川夫妻の恋愛事情
「……なぁ」
俺は横になったままで、一生懸命服に手を伸ばすみつきの後ろ姿に声をかけた。こっち向け、と念じながら。
それが伝わったように彼女はこちらを向いて、ふにゃりと笑う。そして言う。
「大丈夫です、わかってます! 二度目は、ないんですよね」
大人の関係ですね、なんて無理して笑う顔にぐっときてしまって。
そんなことまで察するな。
勝手に気持ちを読むな。
そんな童顔のくせして何が大人の関係だ、と呆れながら。――愛しいかもしれない、なんて思ってしまって。
気付けば、ベッドの中から出て行こうとする彼女の手を掴んで。
尋ねていた。
「……付き合う?」
彼女は心底驚いた顔でこくりと頷いた。