才川夫妻の恋愛事情


「……俺も大事な話があるんだけど、みつき」

「え、今?」

「今」

「唐突ですね」

「聞いて」

「どうぞ」










「結婚しよう」










「……」



みつきは、理解できなかったのかきょとんとしていた。

俺は言ったそばから後悔していた。

熟考の末でもなんでもない。完全に勢いで口から出てきた言葉。みつきを繋ぎとめたいがためだけに出てきた言葉。自分がこんなに考えの浅い人間だとは思わなかった……。

目を丸くしたみつきを見るとどうしようもなく頭を抱えたくなって、死にたくなって、こんなの俺じゃないって言いたくなって。「ごめん冗談」と言おうとした時。





みつきはまた、花がほころぶように笑って見せた。












「……はい。喜んで」












「……」



嘘だろ?






こうして、俺と彼女は付き合って一年経たずして結婚を決めた。

それは100パーセント、俺の焦りと我儘で決まった結婚だった。


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