才川夫妻の恋愛事情
勝負はとっくの昔についていた。それをつい最近になって、やっと認めることができたのだ。
そして追い打ちをかけるように今晩、みつきは言った。
何を考えているのか全然わからないと言いながら、それでも確信を持って「私のこと大好きだよね」と。俺のことでわけがわからなくなって半泣きになりながら、恋をしているような必死さで「好き」だと。
自分のほうを向かせたくて、切なくさせてしまうようなこともたくさんしてきたのに。絶対的な信頼で想ってくれている。彼女にこれ以上何を求めることがあるのか。
シャワーを浴びて、タオルで髪を拭きながら寝室に戻るともう一度彼女のベッドに腰かけて顔を覗きこんだ。みつきは疲れたのか、呼吸で胸を上下させてぐっすりとよく眠っている。
「……」
すり、と頬を手のひらで撫でた。いつまでもこうしていられそうだなと思う。
さっき一度だけ抱いたら、誘った瞬間彼女は〝ついこの間したとこなのに?〟と目を丸くしていた。前にした時から一ヵ月も経っていなかったから意外だったんだろう。俺のせいだけど、みつきはその辺の基準がだいぶ変になっている。今日は我慢がきかなかったなんて絶対に言えない。