才川夫妻の恋愛事情
私の中で果てた才川くんは、乱れて苦しそうな呼吸を整えながらこちらを見た。手が伸びてきて、するっと頬を撫でていく。
触れるだけのキスを一度。離れていく彼の顔を、まだぽーっとする頭で見つめていると、頬にぽたぽたと汗が落ちてきた。
私の上には、まだ欲しそうに見下ろしてくる愛しい顔がある。
「大丈夫? ……もう一回いける?」
「……うん」
その後もひたすら甘く抱き合って、休日の昼間にひたすらベッドでまどろんだ。
結婚生活始まって以来の新しい休日の過ごし方。
「意味がわからない。才川くん、ほんとに。全然わからないです」
子どもをつくる行為も一段落して、シャツを被った私は水を飲みながらそう言って口を尖らせた。
「子どももだし、指輪も。どういう心境の変化……?」
「さぁ」
まだベッドに寝そべっている彼はそう言うばかりで、こうなった今でも真相を教えてくれる気はないらしい。やっぱり彼のことはよくわからない。……でもそこがいい。と思ってることは、言わないでおく。
今度は才川くんがぼやいた。