才川夫妻の恋愛事情
「……ちょっと!」
それはあんまりだと思って私が怒ると、彼は枕から顔をあげて、言った。
「あー、ドキドキした」
そう言って才川くんは、見たこともないほどくしゃっと顔を崩して笑っている。
「……っ」
その顔が恥ずかしくて見ていられなくて、鼓動が早くて苦しい。――好きすぎる。ドキドキしているのは私のほうだ。
私は一体いつまで、旦那さん相手にときめいたり、胸が苦しくなったりしなければならないんだろう?
願わくばずっと最後まで。
優しいあなたと恋していたい。
≪才川夫妻の恋愛事情≫ End