才川夫妻の恋愛事情
ピピピピッ……。
目覚まし時計が鳴りだして、私はまだぼんやりとした意識の中で頭上に手を伸ばす。アラームを止める。
平日の朝。私は時計をセットした通り、朝の7時に起きた。
起きたものの、“あと5分くらいはいいかなぁ~”ともう一度布団を被り直そうと思った時。ものすごく動きづらいことに気付く。腕は自由なのに胴体が動かせない。……なぜ?
「…………えっ」
遅れて声が出た。
思わず目を疑った。
手のやり場に困り、片腕を宙に浮かせたまま。
まじまじとその光景を見直す。
(……えぇぇぇぇっ!!)
動揺のあまり心の中で叫んだ。
あくまで心の中で!
絶対に起こしてはいけない。
才川くんは私に抱きついて、胸に顔を埋めた状態ですぅすぅと健やかな寝息をたてていた。
(かっ……かわっ……!)
可愛い!と声に出して叫びたいのをぐっとこらえて、そろりと慎重に腕を下ろす。絶対に起こさないように。
無防備な寝顔をガン見しながら、おそるおそる、私の視線のすぐ真下にある頭に触れる。とりあえず撫でておく。
そうしても才川くんは起きない。彼は朝に弱い。
ぎゅっと私の体に(胸に)正面から抱きついたまま。離れようともしないし、逆に身じろぎするタイミングで私の体に額を擦りつけてきた。
はわわわ……!と謎の感動に襲われる。
こんな朝がこようとは……!
昨晩私が眠りに落ちる前、才川くんは腕枕をしていてくれたような気がする。
それがどうしてこんな甘える体勢に?夜の間に何が?定点カメラで撮っておけばよかった!
たぶんちょっとやそっとでは起きない。
そう確信して、胸に擦り寄る頭をぎゅぅっと抱きしめた。
(あと10分……)
今朝の私は最高に機嫌がいい。
*
目覚まし時計が鳴りだして、私はまだぼんやりとした意識の中で頭上に手を伸ばす。アラームを止める。
平日の朝。私は時計をセットした通り、朝の7時に起きた。
起きたものの、“あと5分くらいはいいかなぁ~”ともう一度布団を被り直そうと思った時。ものすごく動きづらいことに気付く。腕は自由なのに胴体が動かせない。……なぜ?
「…………えっ」
遅れて声が出た。
思わず目を疑った。
手のやり場に困り、片腕を宙に浮かせたまま。
まじまじとその光景を見直す。
(……えぇぇぇぇっ!!)
動揺のあまり心の中で叫んだ。
あくまで心の中で!
絶対に起こしてはいけない。
才川くんは私に抱きついて、胸に顔を埋めた状態ですぅすぅと健やかな寝息をたてていた。
(かっ……かわっ……!)
可愛い!と声に出して叫びたいのをぐっとこらえて、そろりと慎重に腕を下ろす。絶対に起こさないように。
無防備な寝顔をガン見しながら、おそるおそる、私の視線のすぐ真下にある頭に触れる。とりあえず撫でておく。
そうしても才川くんは起きない。彼は朝に弱い。
ぎゅっと私の体に(胸に)正面から抱きついたまま。離れようともしないし、逆に身じろぎするタイミングで私の体に額を擦りつけてきた。
はわわわ……!と謎の感動に襲われる。
こんな朝がこようとは……!
昨晩私が眠りに落ちる前、才川くんは腕枕をしていてくれたような気がする。
それがどうしてこんな甘える体勢に?夜の間に何が?定点カメラで撮っておけばよかった!
たぶんちょっとやそっとでは起きない。
そう確信して、胸に擦り寄る頭をぎゅぅっと抱きしめた。
(あと10分……)
今朝の私は最高に機嫌がいい。
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