才川夫妻の恋愛事情
「花村のあだ名?」
葉山さんにあだ名の話を聴いた私は翌朝すぐ、竹島さんが喫煙所に入ろうとしているところを捕まえて質問した。
葉山さん曰く、昔は竹島さんも花村さんのことを〝みっちゃん〟とあだ名で呼んでいたという。いつからかやめてしまった、その理由に才川夫妻にまつわる何かが隠れている気がしたのだ。
竹島さんは私の勢いに気圧されてか少し驚いた顔をしていた。そして……ラグビーだったかアメフトだったか、どっちだったか忘れちゃった。とにかく、ボールを守り運んでいた逞しい腕を組んで、その場で立ち話する姿勢になる。
「竹島さんも〝みっちゃん〟って呼んでたって葉山さんが」
「あー、呼んでた呼んでた。でもいつの話だそれ、懐かしー。今はもう気恥ずかしくて呼べねぇわ」
「いつの話なんですか?」
「え?」
「いつ、なんでやめちゃったんだろうって気になってて」
「また変なこと気にしてんのなぁ野波。……あ、お前もしかしてまだ才川夫妻のこと探ってんのか」
「勿論です」
一度疑問が湧いてしまったことは、はっきりさせないと気が済まないタチだった。採用面接でもこの好奇心が買われたわけだから、これは私の長所だと思っている。……でも会社も、まさかこんなことに好奇心を発揮するとは思っていなかっただろうけど。
「それで、いつ頃からあだ名で呼んでないんですか?」
葉山さんにあだ名の話を聴いた私は翌朝すぐ、竹島さんが喫煙所に入ろうとしているところを捕まえて質問した。
葉山さん曰く、昔は竹島さんも花村さんのことを〝みっちゃん〟とあだ名で呼んでいたという。いつからかやめてしまった、その理由に才川夫妻にまつわる何かが隠れている気がしたのだ。
竹島さんは私の勢いに気圧されてか少し驚いた顔をしていた。そして……ラグビーだったかアメフトだったか、どっちだったか忘れちゃった。とにかく、ボールを守り運んでいた逞しい腕を組んで、その場で立ち話する姿勢になる。
「竹島さんも〝みっちゃん〟って呼んでたって葉山さんが」
「あー、呼んでた呼んでた。でもいつの話だそれ、懐かしー。今はもう気恥ずかしくて呼べねぇわ」
「いつの話なんですか?」
「え?」
「いつ、なんでやめちゃったんだろうって気になってて」
「また変なこと気にしてんのなぁ野波。……あ、お前もしかしてまだ才川夫妻のこと探ってんのか」
「勿論です」
一度疑問が湧いてしまったことは、はっきりさせないと気が済まないタチだった。採用面接でもこの好奇心が買われたわけだから、これは私の長所だと思っている。……でも会社も、まさかこんなことに好奇心を発揮するとは思っていなかっただろうけど。
「それで、いつ頃からあだ名で呼んでないんですか?」