才川夫妻の恋愛事情



「ん……」



ちゅ、ちゅ、とついばむようにキスをした。愛されていると疑う余地がない隙間ないキスを。何度も。何度もした。

会社の人に見せるための演技の顔じゃない。関係を隠すためのカモフラージュの甘さじゃない。ごくたまに家で見せる欲情した顔だけが、紛れもなく自分だけの、自分しか知らない顔なんだと感じて、優越感に落ちていく。





一年間、365日。

その内のたった何日かだけ、才川くんは慈しむように、狂ったように、何度も何度も私を抱く。




「みつき……」




朝の五時から。



この後出社するぎりぎりまでめちゃくちゃに愛し合った。









*







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