才川夫妻の恋愛事情

「……やだ才川くん、大きい声で……秘密だって言ったじゃないですかっ。……すごくよかったです」



馬鹿っぽいなぁここまで合わせる必要あるのかなぁと心の中で独り言ちながら、恥じらうようにして目を伏せた。

その時。



「――――」

「、」



耳元に寄せられたままの唇が、息を漏らすように小さな、聴きとれるかどうかも危うい声量でこう溢した。







〝朝も?〟








「……っ」



ひくん、と疼く。朝方に繰り返したセックスを思い出す。

まだ頭を抱き寄せられたままでじんわりと頬が熱くなった。クラクラする。耳元で囁く声は続く。



「花村さんも、すごく可愛かったよ」








〝最高だった〟








絶妙に竹島くんと野波さんには聴こえない言葉を交えて私を辱める。彼が小さな声で囁くたびに、彼の唇が開く湿った音がしてそれもいけなかった。それは朝、さんざん私の耳の中を犯した彼の舌を彷彿とさせる。



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