才川夫妻の恋愛事情
野波さんは肩上でふわっとしたボブヘアーを揺らしながらかんじよく笑った。新人かわいい、若い……! と噛みしめながら、私は、そう、と微笑む。
自分のデスクへ向き直って片づけを始めた。そう言えば、才川くんはまだトレーナーやったことなかったな。一人の指導をする間なく一足飛びで主任になっちゃったけど、新人の教育も経験的には必要なんじゃ……なんて誰目線かよくわからないことを考えていると、左隣の才川くんのデスクの椅子が引かれた。野波さんだ。
「花村さんもう出ちゃいますか? お時間いいですか?」
「うん、大丈夫。どうしたの?」
「何ってことはないんですけどね。ちょっとだけ花村さんとお話したくて」
そう言いながら彼女は才川くんの席に座った。えーなにそれかわいい……! さすが営業に配属されただけあって、人の懐に入ってくるのが上手だなぁと感心してしまう。どうしよう何話そう、と後輩相手に少し緊張していると、話題は野波さんが振ってくれた。
「この間たまたま望田さんとランチご一緒したんですけどね」
「もっちーと……?」
「はい。その時に、葉山さんの結婚式のときの写真を見せていただいたんです」
「へぇ……?」
話がよく見えないなと思っていると、野波さんは手に持っていた手帳から一枚の写真を取り出した。それは確かにはやまんと神谷くんの結婚式のときの写真だった。ただそこに映っていたのは。
「……私と才川くんだね?」
「はい」
自分のデスクへ向き直って片づけを始めた。そう言えば、才川くんはまだトレーナーやったことなかったな。一人の指導をする間なく一足飛びで主任になっちゃったけど、新人の教育も経験的には必要なんじゃ……なんて誰目線かよくわからないことを考えていると、左隣の才川くんのデスクの椅子が引かれた。野波さんだ。
「花村さんもう出ちゃいますか? お時間いいですか?」
「うん、大丈夫。どうしたの?」
「何ってことはないんですけどね。ちょっとだけ花村さんとお話したくて」
そう言いながら彼女は才川くんの席に座った。えーなにそれかわいい……! さすが営業に配属されただけあって、人の懐に入ってくるのが上手だなぁと感心してしまう。どうしよう何話そう、と後輩相手に少し緊張していると、話題は野波さんが振ってくれた。
「この間たまたま望田さんとランチご一緒したんですけどね」
「もっちーと……?」
「はい。その時に、葉山さんの結婚式のときの写真を見せていただいたんです」
「へぇ……?」
話がよく見えないなと思っていると、野波さんは手に持っていた手帳から一枚の写真を取り出した。それは確かにはやまんと神谷くんの結婚式のときの写真だった。ただそこに映っていたのは。
「……私と才川くんだね?」
「はい」