才川夫妻の恋愛事情
微妙な顔で笑っている自分とよそ見をしている才川くん。まじまじと見て思いだす。すごく素敵な結婚式だった。みんなの前で永遠の愛を誓った二人の言葉にはずっしりと重みがあって、とても出会って一年経たずに電撃結婚した二人だとは思えないほどお互いを思う気持ちが深い気がして。
この写真がどうしたと言うんだろう?
「望田さんがね、言うんですよ。花村さん、本当は神谷さんのことが好きだったんじゃないかって」
「えぇ……?」
それはまたもっちーもよくわかんないことを……。珍しい。彼女の持つ情報はあることないこと含め、それが噂になると最もらしく囁かれるから恐れられているのだ。だから、私が神谷くんをなんて根も葉もない話は……あぁ。だからこの写真?
「花村さんの顔が少し悲しそうなのはだからじゃないかって」
言われてもう一度写真を見る。確かに、私はとても微妙な顔で笑っていた。
素敵な式だったからこそ少しアテられてしまったのかもしれない。本当だったら私と才川くんもこんな風に、と思うとちょっとだけ切なかった。
誰にも言えない、ってことは、誰にも祝福されないってこと。
黙ってしまった私に野波さんはもう一度問いかけた。
「神谷さんのこと好きだったんですか?」