才川夫妻の恋愛事情
またキスを受けながら、返ってきた言葉に耳を疑った。気分じゃない……こともない? じゃあ、と体が期待して熱をもっていくのがわかる。深いキスに息が切れて、唇が離れるのと同時に大きく空気を吸い込んだ。
彼は言った。
「でもごめん、ゴム切らしてる」
「……ん」
その申告を境目に、深く口の中を絡めとるキスは徐々に落ち着きを見せて段々触れるだけのキスに戻っていった。
最後にちゅっと口を吸って、才川くんは私を自分の上から降ろした。
「あー……不覚。まさかあの朝あんな使い切るほどヤると思ってなかったから……」
「……つけずにしないの?」
「え?」
「いや……」
別につけなくていいのでは? と思いながら。
というかむしろ、そろそろ。
うまく言えずに濁していると、才川くんは穏やかに笑って「しないよ」と言った。……あぁ、そう? そうですか。ふーん……。
わかりやすくふて腐れた顔をしてベッドから抜け出した。才川くんはそんな私のこめかみにキスをした。なんか今日、やけに甘い。
「おやすみ、みつき」
「おやすみなさい。……朝になって襲ってこないでね」
「それは約束できないな」
「……」
ずるいなぁ。
また今夜も私は一人のベッドで考えるのだ。
会社の人に結婚していることを明かせないもやもやと、なかなか子どもをつくろうという話にならない夫婦間のもやもや。
ねぇ才川くんもう少し、
私は。