二人は全く似なかった
「じゃあこんなのはどうだ?お好み焼きパイナップルブタ玉」
「お好み焼きバカにしてんのかよ!」
「いやいや、ブタ入ってるから酢豚と一緒だよ」
「一緒じゃないよ!どこに似てる要素があるんだぁぁぁぁ!?」
「ほら、ソースついてるし?」
「別物だよ!ソースとタレを一緒にするな!」
「全く、なにが不満なんだ。あ、そうだブタの生姜パイナップル焼きなんてどうだ?」
「あっま!!甘過ぎてご飯も喉を通らないよ!?」
「そう?むしろ柔らかくしてくれるんだから弁当向きだと思うぜ?」
「そんな弁当渡されたら俺は絶望で泣きながら食べるはめになるわ……」
ツッコミに疲れたのか春人が溜め息を漏らす。
「最近なぁ……家の母親が献立考えるの面倒とかいい始めてなぁ……なんかない?マジで」
確かに献立を考えるのは面倒だし作れるものなんてそうそう増やさないし大変だろうな。
俺も献立難の経験者だからよくわかる。
「取り敢えずパイナップルブタ生姜焼きでも言ってみれば?」
「まだ引っ張るのか!?もう終わったかと思ってたよ!」
「え?焼き肉もお好み焼きも生姜焼きもガチで言ってたよ?」
「お前の味覚と発想はどうなってんだ!」
「むしろ発想は悪くないと思う」
「最悪だよ!大分終わってるよその発想!」
「……」
「ん?どうした?」
急に黙った俺の方を見て怪訝そうな顔をしている春人に、俺は一言言った。
「こうなったらむしろブタの角煮パイナップルを提案しようと思うがどうだ?」
「ろくでもないよくそったれ!」
今度は本当に疲れたとばかりに一息開けると先生が入ってきた。
もう時間のようだ。春人は自分の席に戻って授業の準備を始めた。
俺も授業の準備をしてぼーっと始まりを待つ。
それにしても喉の痛みにパイナップルが効くとはねぇ。良いことを聞いたな。