二人は全く似なかった
「檜山くぅん?なにまた居眠りしてるのかなぁ?」
まるで地の底から響くかのように聴こえる普段より低い声。まあ不機嫌。
ていうかいつの間にか寝ていたようだ。
目の前で顔だけは笑顔でこっちを見下ろしている女性の先生だったので英語だったと思い出した。
「昨日はちゃんと寝たの?ほとんど毎回寝られて、せ・ん・せ・い悲しいわぁ」
悲しさなんて伝わって来ないんですが……むしろ伝わるのは身の危険だけです。
「それがですね先生聞いてくださいよ。昨日俺珍しく速く宿題取りかかったんすよ」
「ほうほう、で?」
「帰ってすぐに取りかかったんですよ。そしたらホントに速く終わりましてね」
「うんうん」
「そっからゲームを起動するんですよ。でも夕食まで時間なかったから難関が3つあるんですけど、そこはクリアして後セーブするだけだったのにセーブも出来ずに電源落とされたんですよ」
「へぇー」
「夕食後に難関の最初まで戻されてまた始めたんです。そしたらなぜか全く進めなかったんですよ!」
「ほー」
「そんでしばらくしたら風呂に入れ言われたのでまた電源落としてまたやり直したんですよ」
「……」
「難関が3つあって、風呂上がりだとさっきまで止まってた難関1はあっさり突破できたんです」
「良かったね」
「そしたら今度は難関2でまた積んだんですよ。あ、積んだって言うのは……」
「それはいいから、続き」
「わかりました。えーっと、その難関2で止まってたら今度は母さんが手伝って欲しいからって言ってきたんです。すぐ終わると思って置いてたんですけど」
「けど?」
「家の姉さんが無理に電源落としたせいでデータが消えました」
もう亡きデータ立ち……俺は泣きそうだった。
「そっからまた一からやり直してました」
「つまり?」
俺はとても明るく最高の笑顔を向ける。
「ゲームで徹夜してました」
テキストブックアタックを食らった。結構、いやかなり痛かった。