冬に響くセレナーデ

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日本での日々はあっという間に過ぎた。明日はニコラスに逢える。胸が高鳴り、頰が紅潮した。私はほとんど眠れなかったが、不思議と元気だった。

「おばあちゃん、今日は友達と会ってくるからね。夜は遅くなるから、ご飯はいらないからね。」

「はいはい、もう何日も前から聞いているから、大丈夫よ。いってらっしゃい。」

「いってきます！」

ワクワクした。ニコラスは今頃どこを飛んでいるのだろう？そう考えただけでドキドキがとまらなかった。

成田に着くと、丁度飛行機も到着したようだった。もう少し…もう少し…。人々がゲートから続々と出てくる。

「ニコラス！」

彼が手を振りながら歩いてきた。

「フライトはどうだった？」

「良かったよ。元気だった？」

「ええ、あなたは？」

「寂しくて死にそうだったよ。」

控えめな笑顔は健在だ。

「すごい荷物ね。」

「あー、僕はたくさんの荷物と旅行するんだ。」

「そうなの？」

「うん。お土産も入ってるよ！」

「わぁ！楽しみ！」

私たちはホテルに移動することにした。

「僕、東京は初めてなんだ。」

「そうなの？ソウルとどっちがすごい？」

「運転は日本の方が安全そうだね！」



ホテルに着くと、ボーイさんが丁寧に部屋まで案内してくれた。

「綺麗なホテルね。」

「でも、少し狭くない？」

「そう？ベッドが部屋に対して大きすぎるのかもね？」

「あー、そうか！でも、窓は大きいからいいね！」

「そうね。都庁が見えるよ！」

ニコラスはゴソゴソとスーツケースの中身を開け始めた。

「ああ、あった！大きい葛籠と小さい葛籠、どっちがいい？」

「えー！大きいほうかな？」

「ははは、どうぞ、プレゼントだよ。」

「ありがとう！開けてもいい？」

「もちろん。」

包みを開けると、香水が出できた。

「みんなが君に嫉妬するからね。」

「それで、この香水？」

「そう、素敵な香りでしょう？」

私はキャップを取って嗅いでみた。

「ええ、とても良い香り。ありがとう。」

「つけないの？」

「大切に使うの！だから、明日からつけるね。」

「はは、小さいのも開けてみる？」

「いいの？」

「もちろん。」

深いブルーの包みに白鳥のマーク。プレゼントを開ける時ほど、期待感を抱くことはない。

「わぁ、可愛い！」

キラキラ輝く、ハートのネックレス。

「つけてあげる。」

「ありがとう。」

「ほら、こっちを見て。とっても似合うね！」

「何？スイート？」

「Suits you. 君にとてもよく合ってるってこと！」

「合ってる？嬉しい！」

「喜んでもらえて、よかった！」

ニコラスが私の事を考えながらプレゼントを選んでいる姿を想像した。

「悩んだでしょう？」

「まあね。でも、君の事を考えながら選ぶのは楽しかったよ。」

「いつも、私の事を考えて？」

「そうしてるよ。」

「本当に？」

「本当。」

他人が聞いたら恥ずかしくなるような台詞でも、簡単に言えてしまう。

「試験はどうだった？」

「全然ダメ、希望なし。」

「大丈夫、きちんと勉強してたんだから。きっと結果はついてくるよ。」

「そうだといいのだけど。」

「心配しないで、進級できるよ。」

「それは大丈夫だと思う！」

「では、問題なしだね！」

「ふふふ、ねえ、お昼ご飯はもう食べた？」

「実は、お腹ぺこぺこだったんだ！」