冬に響くセレナーデ
10
ニコラスの短い休みが終わり、私は一人で退屈していた。出かけてもドイツ語がわからないので、道に迷って帰って来れなくなったらーなどと考えたら、どこにも行けなかった。
「一日中一人で暇だろう?ごめんね。」
「いいの、のんびりしてるから。」
「明日は公演があるんだけど、もし良かったら聴きに来ない?」
「一人で大学まで行けるかな?」
「大丈夫、ここは意外と英語も通じるから。」
「本当?」
「うん、みんな親切だし、留学生も多いから。助けてくれると思うよ!」
「何時から?」
私は勇気を出して、外出することにした。
翌日、言われた通りに大学のホールへやってきた。ニコラスは何番目に演奏するのだろう。
とりあえず、会場へ入り、適当なところへ座る。
ドイツ語でナレーションが入った後に、演奏者たちが舞台に出てきた。何組かの演奏を聴き、最後の方にやっと彼が登場した。
「4人いる…。」
弦楽四重奏だ!曲は、ボロディンの第2番、ニ長調。流麗で、聴いていて心地よい。
そういえば、私が初めて聴いたニコラスの演奏もボロディンのものだった。
彼の美しい音は、その美しさに磨きをかけて旋律を奏でる。
「素敵…。」
公演が終わるとニコラスがやってきて、仲間を紹介してくれた。
「やあ!写真で見たよ!ニコラスの自慢の彼女だね!」
「僕はもうクリスマスに会ったよね。」
「本当に綺麗だね!」
私は気恥ずかしくて、照れてしまった。しかし、か細い声でこう言った。
「フロイト ミッヒ。 イッヒ ハイセ カナミ。」
「ドイツ語、勉強したのー?」
ニコラスは驚いた顔をして言った。
「これが、私が話せる唯一のドイツ語。」
まわりのみんなは英語がわかるので、爆笑の渦に包まれた。
その日以来、私は一人で外出する気になった。
「ねえ、今日は、前に連れて行ってくれた丘に行ってきたの。」
「どうだった?」
「お天気が良かったから、とても綺麗だった!相変わらず変わった建物が建っていてね、ユーゲントシュティールっていうものなんですってね。それから、教会では聖歌が歌われていてね、あとはー、可愛い歩行者用の信号機も見つけたの!」
「アンペルマンのことかい?」
「そういうの?可愛い男の子の信号機!」
「旧東ドイツで使われていた信号機なんだ。」
「へえー!今度写真を撮ってこなくちゃ!」
「お土産店に、モチーフの小物もあるよ。」
「行ってみなきゃ!」
「随分と行動的になったね。嬉しいよ。」
ニコラスは本当に嬉しそうに言った。
「そうだ、今度の休みは一緒にどこかに行こうか?」
「そうね!せっかくドイツに来たから、ノイシュヴァンシュタイン城へ行ってみたいな!」
「え?他にもいろいろあるのに、なんでそこ?」
「だって、素敵なお城でしょう?」
「そうかな?あれは鉄骨製だよ?」
「え?」
ドイツの歴史に疎い私は、何のことだかさっぱりわからなかった。
「でも、旅をするのは賛成だから、行ってみようか。」
「やったぁ!」
「一日中一人で暇だろう?ごめんね。」
「いいの、のんびりしてるから。」
「明日は公演があるんだけど、もし良かったら聴きに来ない?」
「一人で大学まで行けるかな?」
「大丈夫、ここは意外と英語も通じるから。」
「本当?」
「うん、みんな親切だし、留学生も多いから。助けてくれると思うよ!」
「何時から?」
私は勇気を出して、外出することにした。
翌日、言われた通りに大学のホールへやってきた。ニコラスは何番目に演奏するのだろう。
とりあえず、会場へ入り、適当なところへ座る。
ドイツ語でナレーションが入った後に、演奏者たちが舞台に出てきた。何組かの演奏を聴き、最後の方にやっと彼が登場した。
「4人いる…。」
弦楽四重奏だ!曲は、ボロディンの第2番、ニ長調。流麗で、聴いていて心地よい。
そういえば、私が初めて聴いたニコラスの演奏もボロディンのものだった。
彼の美しい音は、その美しさに磨きをかけて旋律を奏でる。
「素敵…。」
公演が終わるとニコラスがやってきて、仲間を紹介してくれた。
「やあ!写真で見たよ!ニコラスの自慢の彼女だね!」
「僕はもうクリスマスに会ったよね。」
「本当に綺麗だね!」
私は気恥ずかしくて、照れてしまった。しかし、か細い声でこう言った。
「フロイト ミッヒ。 イッヒ ハイセ カナミ。」
「ドイツ語、勉強したのー?」
ニコラスは驚いた顔をして言った。
「これが、私が話せる唯一のドイツ語。」
まわりのみんなは英語がわかるので、爆笑の渦に包まれた。
その日以来、私は一人で外出する気になった。
「ねえ、今日は、前に連れて行ってくれた丘に行ってきたの。」
「どうだった?」
「お天気が良かったから、とても綺麗だった!相変わらず変わった建物が建っていてね、ユーゲントシュティールっていうものなんですってね。それから、教会では聖歌が歌われていてね、あとはー、可愛い歩行者用の信号機も見つけたの!」
「アンペルマンのことかい?」
「そういうの?可愛い男の子の信号機!」
「旧東ドイツで使われていた信号機なんだ。」
「へえー!今度写真を撮ってこなくちゃ!」
「お土産店に、モチーフの小物もあるよ。」
「行ってみなきゃ!」
「随分と行動的になったね。嬉しいよ。」
ニコラスは本当に嬉しそうに言った。
「そうだ、今度の休みは一緒にどこかに行こうか?」
「そうね!せっかくドイツに来たから、ノイシュヴァンシュタイン城へ行ってみたいな!」
「え?他にもいろいろあるのに、なんでそこ?」
「だって、素敵なお城でしょう?」
「そうかな?あれは鉄骨製だよ?」
「え?」
ドイツの歴史に疎い私は、何のことだかさっぱりわからなかった。
「でも、旅をするのは賛成だから、行ってみようか。」
「やったぁ!」