幽霊探偵
それから3人で喋りながら歩いた。
幽霊マンションには30分ほどの道程だ。
幽霊マンションは高い建物があまりない潤が住む町には一際目立っており、遠くからでもその存在を確認できる。人口を増やす為に出来たマンションは販売してからすぐに完売した。20階建ての高層マンションで駅からも近く、学校もスーパーマーケットもファミレスも全て徒歩10分圏内なのだから売れて当然とも言える。
「姿が見えるからすぐかと思ったら結構歩きますね。」
と実梨花が言うと
「そうね。これなら帰りはバスの方が良いかもね。」
と樹里も納得したように頷く。
潤は汗をダラダラ流しながら、途中で買ったジュースを飲んでいる。話なんか聞いてない。
やっとの思いで3人が到着すると、他の写真部の面々が揃っていた。
「遅いぞ!全く後輩達はのんきだなぁ。」
と肇が言うと、樹里がスマホの時計を出して、
「まだ30分前です!」
と怒りながら叫んだ。
そのやりとりを苦笑していた潤は麻希がいないことに気づき、
「肇先輩?部長は?」
と聞いた。
肇はマンションの前に併設された公園のブランコに向かって指をさした。
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