幽霊探偵
1
地球温暖化が進んでる現代。
30℃を越える日は当たり前で、ところによれば40℃を越えるという毎日。
午前中なのにジリジリと鋭い日差しが照りつける中、一組の男女が歩いていた。
男の方はフラフラと歩いており、女の方はキビキビと歩いている。対照的な二人だ。
「暑い。」
と呟く。
「夏なんだから暑いのは当たり前でしょ?」
とすかさず返している。
「この暑さは異常だって!」
とぶつぶつと文句を言っている男は神戸潤(かんべじゅん)と言う。高校2年生で、普通くらいの高さの身長。どこにでもいそうな顔立ち。そして、成績も並み。という、「クラスに一人は絶対いるよね!」みたいな感じの人柄だ。
「去年も同じこと言ってたよ!」
とお母さんみたいな事を言い返しているのは一之瀬樹里(いちのせじゅり)と言う。潤と同じ高校2年生で幼なじみである。
「暑いものは暑いの!」
「冬は冬で寒くて死ぬっていってるじゃない?」
と二人でギャーギャー言っている。家が隣同士の為こうして毎日一緒に学校に行っているのだ。
今は8月で夏休みの為、二人で部活に行っていることになる。
「ところで、潤は何か良い写真撮れた?」
「いや。暑くて部活以外は外に出てないから。」
二人の手にはカメラが握られている。二人とも写真部で文化祭に出品する作品を夏休み中に撮らなくてはならないのだ。
ちなみに、潤の返答に樹里は「はぁ~。」とため息をついていた。
「そういう樹里は撮れた?」
と、潤が言うと
「ダメ。ここは撮ったことあるもんばかりだからね。」
と首を振りながら樹里が答えた。
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