二度目の恋



女性は私に気がつき私は頭を下げた


「あら、どなたかしら?一輝が女性を連れてくるなんて初めてね」


その女性は優しい口調でニコッと笑ってくれた



「ああ、田宮美奈。うちの派遣社員してる……美奈、俺の母さんだ」



……お母さん?
一輝の両親は一輝が中学上がる時に
離婚したと聞いていた。


「……美奈さん?……もしかして……」


一輝のお母さんは驚いた顔をしていた



「ああ、金森美奈……20年前、俺が付き合っていた彼女だ」



一輝がそういうと、お母さんはいきなり
床に土下座をして


「美奈さんっ!ごめんなさい!20年前、この人がした事は、許されることじゃないのはわかっています、けど、この人の子供は一輝しかいなくて、一輝にはどうしても会社を継がせなきゃならなかったの……あの時は……こうするしか、なくて……ほんとうに、本当に……ごめんなさい……この人に変わって、私が……」



お母さんがすすり泣いているのがわかった
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