二度目の恋



お願いします、


そう言って里美ちゃんは私を美容師さんに託して行ってしまった


全くなにをされるかわからず
不安に思っていたら


「目をつぶっていてくださいね。これから魔法をかけます……」


そう笑ってくれた美容師さん


これも……遥輝と里美ちゃんの?
出来のいい息子とその彼女、
私は二人を想いながら目を閉じた



どのくらいの時間が経っただろう
鏡のない空間に、カラーとパーマ
髪を切る音……


どんな自分になったのかが楽しみだった
さっき買ったばかりのワンピースに
着替えたらいい、と勧められて

ようやく、鏡の前に立った



『……うそ、』


鏡に映る自分が自分じゃないみたい
緩くウェーブがかかり
カラーすらしたことがない髪は
キャラメルブラウンな控えめな明るさ


「お連れ様がお待ちになられてますよ?」


そう言われ、外を見ればガラス越しに遥輝と里美ちゃんが手を振っていた
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